TOP > ソファスタイル コラム > ソファーと過ごす彩り時間 > ソファと文通
帰宅したときは必ず、エントランスにある郵便受けを覗く。
以前は、ただの習慣だったが、最近は楽しみの一つになった。
ワクワクしながら覗いて、テンションが上がったり、落胆したり。
その鍵はダイヤル式だ。自分の誕生日だと、何かの時に危ないので、
鍵を解く数字は母親の誕生日がキーワードとなっている。
目的の物を手にすると、急ぎ足で階段を駆け上がる。
6階まで上るのは正直しんどいが、ダイエット目的でつい先日からそうすることにした。
持っていた鞄はソファの横に無造作に置かれる。そしてソファにどさっと座る。
仕事後だからお腹もすいているし、早くメイクも落としたい。
でもそれを全部後回しにして、まずはそれと向き合う。
もちろん、中身はそんなに重要でもないのだが、何だかワクワクしてしまう。
大切な人と連絡を取るツールにおいて、今はメールが主流となっているが、
メールだけだと無機質に感じる場合もあるし、使いこなせない相手だっている。
封筒を破くのが下手なので、いつもは雑なくせに、ハサミを浸かって封を開ける。
そこには、自分の近況が書いてあり、季節の移ろいが書いてあり、
また、相手を敬う心遣いが書いてある。
もうこの年齢になると少なくなる「○○ちゃん」という呼ばれ方。
なんだか昔に戻ったようで、文面を読んでいるだけでほっとしてしまう。
何度か目を通した後、時間がある時は返事を書くようにしている。
少し間を空けると、ついついサボってしまう自分の癖を分かっているからだ。
子どもっぽくならないように、キャラクターの便せんは使わないし、
安っぽいボールペンも使わない。最近は花柄や無地のものが多い。
それを、雑貨屋で選ぶのも楽しい。
丁寧に、質問があったことには答えていきながら、最近の出来事を綴っていく。
あまり書くのが得意ではないので、時々、ソファでテレビを観ながら、気負わずに。
遠方在住の祖母との文通。彼女が達筆すぎて、たまに読めないことがあるのが難点だ。