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ソファの定員は2人。仲良く並んでいるのに、敵同士となる場合もある。
目の前のテーブルには、お気に入りの飲み物と袋菓子がスタンバイ。
時々、一人でもこの状態の時がある。とても人様に見せられる姿ではなく、
もはや女性としての自我は捨てているといっても過言ではない。
男兄弟に挟まれて生まれ育ったので、テレビゲームは俄然、得意だ。
いつも少し年の離れた兄が勝負相手だった。もちろん最初のうちには相手にもならず、
トコトン打ち負かされては泣きわめいて、母親のところへ慰めてもらっていた。
でも、どんどんやるにつれて、少しずつ良い勝負ができるようになり、
最終的には時々勝つこともあった。大人になったようで嬉しかったのを覚えている。
実家のソファはゆったりとした3人掛け。居間にあるテレビにゲームを繋いで遊ぶ。
いや、遊ぶのではない。戦いだ。
兄は容赦ない性格ゆえ、妹だからといって甘やかさない。
自分は長男で散々甘やかされてきたくせに、と今になって少し笑えたりもする。
子ども達がゲームを始めると、止めろと言ってもしばらくは言うことを聞かないので
母は観たいテレビを諦めざるを得なかった。
当時、まだ母も若く、好きな俳優のドラマや気になるニュースなどあっただろうに
申し訳ないことをしてしまったものだ。
負かされても負かされてもめげず、それどころかムキになる娘の姿を見て
きっと行く末を案じただろう。
大体の場合は、ケンカして泣いて終了。もう兄の顔なんか見たくもないと
子どもながらに腹を立てているのだが、翌日にはケロッと忘れている。
そのストイックな戦いのせいで、小学校高学年にもなると、
そんじょそこらの男子にはテレビゲームで負けなくなってしまった。
だから現在の長所とも短所とも言える負けず嫌いな性格は、
この頃に歪んで培われてしまったのだと思う。
それがなければ、もう少し可愛げのある女性になったのに、と悔やまれる。
まったく余計なことをしてくれたものだ。