TOP > ソファスタイル コラム > ソファーに囲まれる生活 > 静香とカバーリングソファ(ブラック)
静香は、私の姪です。まだ3歳の、ようやく歩けるようになった、幼い子どもです。
でも、彼女には、どうやら不思議な力がある様子です。
それは、私の家のリビングで、私が発見したのでした。
初めて、彼女が我が家へやってきた日、リビングのソファのカバーの色は、
レモンイエローでした。
その日、一日中、彼女は、忙しなく動き回っていました。
姉(母親)のいうことなど全く無視して、自分勝手な行動ばかりとっていました。
ご飯を食べようといえば、お菓子が食べたいといいました。
それじゃあ、お菓子を食べましょう…というと、今度は、おむすびが食べたいのだと、
言い出す始末でした。
絵本を読もうと誘うと、ソファの上を飛び跳ねて回ります。
じゃあ、ダンスをしようと両手を握ると、ソファの上に座り込むのでした。
「貴方のそんな性格は一体誰に似たの?」と、我慢できない様子の、姉がいいます。
「あまのじゃくね」と、何度も何度も、繰り返しいっては、嘆いています。
しかし、しばらく考えた後、「半分は私かもね…」と、姉は、自問自答しながら
落ち込むのです。
そばで見ていた両親たちは、「そうそう、その通り」と、言葉にはしませんでしたが、
うんうんと頷いていました。
そして、私はというと、姉に対して(それは半分ではなくて全部だよ)と、これまた
口には出しませんでしたが、表情に出して姉を見つめてやりました。
ところが、ところが、です。ところが、その次に、彼女がわが家にやって来たときのことです。
そのあまのじゃくの彼女が、まるで借りてきた猫のように、静かになったのです。
その理由は、姉にも、両親にも、分からない様子でした。
勿論、初めのうちは、私にも分からなかったのです。
でも、聡明な私は、すぐに気が付きました。
彼女は、ソファに掛けた、ブッラクのカバーに、影響されていたのです。
その鮮やかな黒色に、毒気を全て抜かれてしまったのです。
そしてそれは、姉の小さい頃に、そっくりでした。
そのことを思い出したのは、どうやら私だけのようでした。
静香は、ソファの色に影響されるという、不思議な女の子なのでした。