TOP > ソファスタイル コラム > ソファーに囲まれる生活 > お客様をもてなす1人掛け木肘付きレトロソファ
わが家の玄関を入ると、すぐ目の前に10畳の座敷があります。
そしてその座敷には、障子戸を挟んで、縁側が付いています。
その縁側には、1人掛けの木肘付きレトロソファが2台、向かい合って置いてあります。
そして、2台のソファの真ん中には、小さなガラステーブルがあります。
わが家に、お客様が来たとき、父はすぐに、その木肘付きレトロソファを勧めます。
そのソファが、玄関近くにあるということと、座敷に座布団で座るよりも座りやすい
からだろう…と、私は思っていました。
お客様は、父と向かい合って、そのソファに座ります。
吐き出しのガラスの外には、小さな庭がありました。
狭い庭でしたが、それでも、その庭の木々や草花は、いつでも生き生きとしていました。
太陽の光を浴びて、または雨に濡れながら、笑顔でお客様を迎えました。
父には、そんな庭の木々や草花と、同じ気配がありました。
それは、誰もを拒むことのない、広く暖かな感情でした。
父は、人と話すことが大好きでした。
いえ、話さなくても、人と一緒にいることが好きでした。
ただ誰かと同じ空間に居ることに、大きな喜びを感じるのだと思います。
そんな父の気持ちが、わが家を訪ねてくる人々の心の奥底にまで、伝わるのでしょう。
一度わが家を訪れた人は、まるで誘われるようにして、2度3度とわが家に来るように
なるのでした。
父は、その木肘付きレトロソファを、とても大切にしています。
柔らかな布で大切そうに拭き、その向かい合うソファの位置を、微妙に調整するのでした。
その木肘付きレトロソファから見える、庭の木々や草花の表情。
そして、射し込んでくる太陽の光の当たり具合や暖かさ。
それらを、いつも考慮しながら、自分と向き合うお客様を迎え入れるのでした。
わが家へ、多くのお客様が来てくれるのは、父と、庭の木々や草花と、そして縁側の
木肘付きレトロソファのお陰です。
母と私は、そのお客様達の笑顔を眺めながら、穏やかな日々を送っています。