わが家のリビングにある３台の３人掛ソファの謎

何処の家でも、リビングにソファが置いてあるのは、当たり前です。
私だって、そんな光景は、よく見かけます。

麻美の家にも、修司の家にも、同じように、リビングにはソファがあります。

しかし、ごく普通の５人家族のリビングに、３人掛ソファが３台も置いてあるというのは、
普通ではありません。

誰が、どう考えても、辻褄が合わないのです。
私は、小学４年生になったときに初めて、そのことに気付きました。

わが家は５人家族なのに、どうして３人掛けソファが３台もあるのかという
疑問に気付いたのでした。

考えれば考えるほど、謎は深まっていきました。
だから、私はすぐに、母にそのことを訊きました。

しかし母は、何も答えてはくれませんでした。
それどころか、私に質問されたことを、嫌そうにしていました。

私は、その次に、父にその質問をしてみました。

すると父は、質問の意味がよく分からなかったのか、眉間にしわを寄せて、もう一度、
訊き直してきました。

私が、再び同じことを繰り返して訊くと、父は、ただ笑って誤魔化してしまいました。
そのとき、上の兄は高校生でした。

私は、その兄に、ソファのことを訊いてみました。
すると兄は、私の耳に、囁くように言ったのです。

「両親と兄が一緒にリビングにいる日曜日の午後、庭から、そっとリビングを覗いてみろ」
と……。

そうして、ついに、その次の日曜日に、チャンスがやってきました。

それまでは、日曜日というと必ず、私は、友達の家へ遊びに行っていました。
しかし、ソファのことが気になっていた私は、その日の友達の誘いを断ったのです。

兄が言うように、リビングに３人が集まるのを、じっと待っていました。
私は庭に出て、外からガラス戸越しに、リビングの様子を見ていました。

しばらくすると、昼食の洗い物を済ませた母が、リビングにやってきました。
テレビのクイズ番組を見始めたのですが、いつの間にか、うつらうつらとしています。

父もやってきて、ソファの上に、ゴロリと横になりました。
すぐに兄も入ってきて、テレビ番組をサッカーに変更して、ソファに寝ころびました。

見ると、いつの間にか、母もソファに寝転んでいます。
兄がガラス戸を開けて、私の方を見ました。

「わかっただろ。そういうこと」と言って、再びソファの上に寝転がりました。

2012年2月27日 / タグ：[ ソファ, リビング, 謎 ]