映画の中のソファ 「結婚の条件」

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映画の中のソファ 「結婚の条件」

ソファと聞いて思い出す映画のひとつに、『結婚の条件』という映画があります。若い新婚夫婦がソファの配置をめぐって口論をするシーンが印象的でした。今は亡きジョン・ヒューズ監督(代表作『ホーム・アローン』)が、脚本と監督の両方を手がけています。

結婚後も学生気分が抜けず、なかなか一家の主になりきれない夫(ケビン・ベーコン)と物静かで冷静な妻(エリザベス・マクガバン)。安定した仕事の確立、義両親との難しい関係、住居の購入、招かざる夫の客、不妊治療、妊娠、出産…。「結婚は人生のゴールではなく始まりである」という巷で良く聞く格言を映像化したような物語です。

さて、めでたく妊娠出産という運びになりましたが、赤ちゃんの様態が思わしくなく、緊急の帝王切開となります。夫は病院の待合に力なく座り、死と直面する妻と子を思い、結婚生活を振り返ります。

ケイト・ブッシュの切ない歌声”This Woman’s Work”と共に流れる有名な回想シーン。手に入れた中古住宅を、夫婦共に手をかけて「二人の家」にしてゆく過程が淡々と映し出されます。

「ソファはこっちの向きがいい」「いえ、こうした方がいいわ」

購入予定のソファの大きさに折りたたんだ新聞紙を、リビングの床に置いて相談しますが、意見が一致しなかったのか…。苛立った夫が新聞紙を丸めて暖炉に投げ入れ、笑い出す妻を抱きしめます。恋愛映画ではないのに、胸がきゅんとなる最高のシーンです。

ソファの配置で喧嘩をし、部屋や外壁を塗り、自分たちの「小さな城」を作った数々の思い出。夫婦二人が寄り添い暮らせること、そして家庭を持つことがいかに幸せか。夫にも父親にもなりきれていなかった青年が、そう痛感する心情が見事に演じられていました。

赤ちゃんは無事に生まれ、家庭の外に幸せを見出そうとしていた彼は、すでに完璧な幸せを手にしていたことに気が付き、物語は幕を閉じます。当たり前の日常が愛情たっぷりに描かれおり、観る者の心を温かくしてくれる映画です。

(ちなみにソファ購入の前に、新聞紙をソファの大きさに折りたたんで部屋に置き、サイズやイメージのチェックをする方法は、アメリカでは一般的なことだそうです)

2012年4月3日 / タグ:[ , ]