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例えば、仕事で一日外回りをしていてようやく家路に着いたとき。
例えば、家事や雑用を休む暇なく済ませて、慌ただしく一日が過ぎたとき。
ふっと、肩の荷を下ろし、ココロをゆるめるべく、カラダをやすめるべく、
ソファで珈琲を飲む時間は、たまらなく幸せだったりする。
頑張った自分を振り返りながら、ご褒美にチョコレートをふたカケラだけ。
その甘さと珈琲の苦さが絶妙に絡む瞬間がとても好きなのだ。
ぼんやりとソファの上で、今日の自分はどうだっただろう、なんて考える。
もっと目を見て話をすればよかったな。時間の使い方が、まだまだ下手だな。
慣れた手で珈琲を少し口に含み、その日あった出来事を反芻しながら。
反省というほど向上心に溢れたものではなく、後悔というほど大袈裟なものでもなく。
ただ思いつくままに、頭の中で考えを巡らせていく。
運を味方につけるには、ネガティブな言葉は使ってはいけないらしい。
だから、もっと目を見て話をしよう。時間の使い方を勉強しよう。といったように
後からいつも言葉を正すようにしている。すでに遅いかもしれないけど。
他人とのコミュニケーションは大事だけれど、自分とのコミュニケーションも
また、大事だと思う。こんなふうに考えるようになったのは、
さまざまな経験を積んだ、随分と大人になってからだと記憶している。
自分と向き合う時間が増えたのは、大きな要因として実家を出たことにある。
最初は寂しくて、帰りたくて、どうしようもなかったのだが、
少しずつ自分だけの空間ができていくのも、また心地良いものだった。
一つ一つ、家具や雑貨を買い揃えていく作業は、大人になる準備なのだと思った。
そうして人は、自分にとって何が必要で、何が不必要なのかを知っていく。
珈琲を注いでいるマグカップと、くつろいでいるソファは、その時買ったものだ。
お気に入りのものが作る、お気に入りの時間。今の自分に必要なこと。
すっかり冷めた珈琲を飲み干しながら、気持ちをゆっくり明日へと切り替えてゆく。