文明堂古書店の木肘付きレトロソファ

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ソファに囲まれる生活

文明堂古書店の木肘付きレトロソファ

私が、文明堂古書店を好きな理由は、3つあります。
ひとつは、絵本が多くあること。

そしてもう一つは、オーナーである誠司さんの人柄が良いこと。
そして最後の1つは、リーディングルームのレトロなソファでした。

私は、町の図書館に勤務しています。
司書として仕事を始めてから、もう5年目です。

初めのうちは、何にも分かりませんでした。
しかし、その内に、司書としての目標ができました。

それは、子ども達に、本の良さを分かって貰いたいということでした。
今の時代は、テレビ、パソコン、携帯電話、ゲームなどの電子機器ばかりです。

生活に、ゆとりや、情緒というものが、全く感じられません。
だから私は、子ども達と一緒に、絵本を読むという活動を始めたのです。

図書館には、沢山の絵本がありました。
しかし、今はもう、絶版となってしまっている絵本もありました。

いくら待っていても、その絵本はもう二度と再版されない、貴重な絵本でした。
だから私は、休日になる度に、都内の古書店巡りをして、それらの絵本を探していたのです。

滅多にお目に掛かれることは、ありませんでした。
それでも、時どき、その絶版となった名作絵本と出会えることがありました。

それがもう、嬉しくて嬉しくて、私は、古書店巡りを続けていました。
そんな古書店の中で、私が最も好きだったのが、文明堂さんでした。

文明堂さんは、それほど蔵書数は多くありませんでした。
しかし、いつも店内を小奇麗にしていて、書籍もきちんと分類されていました。

文明堂さんのオーナーは、50代の男性で、誠司さんといいました。
口ひげがトレードマークで、おっとりとしていました。

その誠司さんは、店主でありながら、いつも店内のリーディングルームにいました。
好きな本を読みふけっていて、まるで商売っ気などありませんでした。

私は、そのリーディングルームのレトロソファが、大好きでした。

木肘のついたソファは、全てがレトロな感じで、何だかそのソファを見ているだけで、
心が落ち着くのです。

誰もが本を読みたくなってしまうような…そのソファは、いつもお客さんである私たちを
そんな気持ちにさせてくれました。

私は、山と積み上げた絵本を、次つぎに読みました。
すると、その様子を見て、誠司さんが、可笑しそうに笑うのです。

レトロなソファは、いつも私たちの気持ちを、とても柔らかにしてくれました。

2012年1月28日 / タグ:[ , , ]