カバーリングカウチソファ(ハッピーピンク)と静香と

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ソファに囲まれる生活

カバーリングカウチソファ(ハッピーピンク)と静香と

静香は、3歳の私の姪です。
両親にとっては、とても可愛い、たったひとりの初孫です。

その孫がわが家にやってくると、両親は、もう静香しか目に入りません。
他の誰かのことなんか、知らないわ…というふうになってしまうのでした。

そんな、ある日曜日の午後。
お決まりのように、姉が、静香を連れてわが家にやってきました。

それは、姉にとっては、ひとときの休息でした。
そして両親にとっては、待ちに待っていた楽しみでした。

しかしそれは、私にとっては、とても厄介なことだったのです。
いくら姪といっても、私にとっては、ただの手に負えない子どもです。

勝手に、私の物を、ぐちゃぐちゃにされたのでは困るのです。
しかし、まだ3歳の子どもには、口で言って分かることと、そうでないことがあります。

それは私も、充分に理解しているつもりです。

でも、頭では分かっているのに行動ではそれが出来ないことということは、世の中には
数多くあります。

静香は、わが家にあるものは、全て自分のものだと思っています。
それが間違いだと、幾ら口で言っても、分かりません。

どうやら、その日も、リビングのケースの中から、私の口紅を勝手に持ち出した様子でした。
そして、それを、自分の唇に塗ろうとしたのです。

たまたま、その時には、リビングには誰もいませんでした。

だから、両親と姉がリビングに戻ってみると、真っ赤な口紅を頬に塗りたくった静香が、
ソファに座っていたそうです。

その姿が、あまりにも可愛らしかったからと、両親はデジカメで写真を撮り始めました。
それを姉も、一緒になって見ていたのだそうです。

その日の夕方、私は、家に帰ってきました。
両親が眼を細めて、ハッピーピンックのソファに座った、静香の写真を見ていました。

両親いわく、ソファがハッピーピンク色のカバーだったから、静香は口紅を
塗りたくなった…のだそうです。

その口紅は、1万円もした、私が持っている化粧品の中では最高級品でした。
それなのに静香は、その1万円の口紅を、半分ほども使ってありました。

私はめまいを感じてふらふらとし、そして両親はというと、まだ嬉しそうに、
その写真を眺めているのでした。

2012年2月21日 / タグ:[ , , ]