リビングのソファから眺める雪の中のハッサクの木

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ソファに囲まれる生活

リビングのソファから眺める雪の中のハッサクの木

わが家のリビングから、お隣の庭が見えます。
その庭はとても広く、様々な果実の木があります。

サクランボに、キウイに、リンゴに、柿に、栗に。
そして今が旬で、食べごろな果実が、ハッサクと柚です。

お隣の庭は、営林署に勤めていた山田さんの小父さんが、それはそれは大切に育ててきました。
枝を切ったり、肥料をやったり。休日になると、必ず木々の手入れをするのでした。

そんな山田さんでしたが、5年前に定年退職をしたのと同時に、病気になって
亡くなってしまいました。

それでも、心を込めて育ててきた木々は、まだまだ素晴らしい実を付けるのでした。
ハッサクの木は、とても大きな実を付けます。

実の直径が、10センチから15センチもあるような大きな実を、ごろごろと付けるのです。
あまりにも多くの実を付けるので、枝はその重さで垂れ下がります。

でもその実は、雪に晒さなければ、甘くならないのでした。
たくさんの雪が、数日前から降り続きました。

雪に晒されて、きっと甘くなっただろうと思っていると、枝に降りつもった雪の重みで、
枝がかなり下がっています。

リビングのソファに座って、両親と私がそれを眺めていると、山田さんの小母さんが、
庭に出て手を振っています。

吐き出しの戸を開けて、私が外に出ると、奥さんが近くまで歩いてきました。
手伝って貰えないかと、そういうのでした。

まず枝の雪を落として、それから、たくさんのハッサクの実を取りました。
小母さんは、たくさんのハッサクを、食べて貰えないかと、いいました。

私は、大きな籠に、山盛りのハッサクを頂いてきました。
そのハッサクの皮をむいて、今度は母が大量のジャムを作りました。

そうして私は、そのジャムを、山田さんの家に持っていきました。
ちょうど小母さんは、お仏壇の掃除をしているところでした。

折れた小さな枝木の付いたハッサクの実が一つ、備えてあります。
私は、その隣にジャムを置き、小父さんにお礼を言いました。

山田さんの庭には、たくさんの果実の木々があります。
真っ白な雪の中に、ハッサクと柚の実が、生き生きと実っています。

2012年2月23日 / タグ:[ , , ]