トトと私とカウチソファと

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ソファに囲まれる生活

トトと私とカウチソファと

トトは生まれて8ヵ月の三毛猫です。
半年前に、叔父さんの家から母が譲り受けてきたのです。

譲り受けたといっても、別に我が家では、猫を欲しがっていた訳ではありません。
どちらかといえば、叔父さんの家が、生まれた子猫を持て余していたのです。

まあ、どちらにしても、トトは我が家にやってきて、我が家の至るところを
好き放題に歩き回りました。

キッチンに……リビングに……座敷に押入に……トイレや浴室の中までもを……。
そしてどういう訳か、トトは私の部屋を、一番気に入ってしまったのです。

私の部屋は、南向きの大きな窓のある8畳の洋室です。
入り口はドアなので、いくら頭の良いトトでも、自分で入ることは不可能です。

だからトトは、私が家に帰るまでは、リビングに寝そべっています。
そして私の足音を聞きつけるやいなや、すぐに玄関に飛び出してくるのです。

にゃお~ん、と、甘えた声を出して、すり寄ってきます。
しつこく脚にまとわりついてきて、私の足元をぐるぐると回ります。

うるさい、と小さく怒鳴りながら、それでも内心わたしは、悪い気がしません。
ドアを開け、トトが部屋の中に入るまで、じっと待っているのです。

バッグをテーブルに置き、上着をハンガーに掛けると、私はカウチソファに腰を下ろします。
ふうっーと、全体重をソファに預けます。

背筋を伸ばし、両脚を伸ばすと、待っていたようにトトが私の膝の上に飛び乗ってきます。
まるでそこが、自分の定位置だとでもいうように、体を丸めて座り込むのです。

私はというと、膝の上のトトを気遣いながら、それでも大きく伸びをします。

組んだ両手を頭上にあげて、もう一度、思い切り両脚に力を入れ、それからその力を
瞬時に抜き去ります。

ふわりっ、と、トトの体が、膝の上で揺れ動きます。
でもトトは、そんなことはお構いなしという感じで、私の膝の上に居座り続けるのです。

それはまるで、私がカウチソファに全身を預けるのと同じように、
トトも私を信頼してくれているのです。

2011年12月16日 / タグ:[ , , ]