太郎と次郎とレザーソファと

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ソファに囲まれる生活

太郎と次郎とレザーソファと

太郎と次郎は、生後半年のブルドッグです。
レッドとホワイトのミックスですが、ほとんどはレッドで覆われています。

ホワイトは、ほんの少しだけ。口の周囲と首筋、そして4本の足元だけでした。
垂れた耳、しかめた顔、サラサラで少したるんだ毛並みが、最高に可愛い子犬でした。

初め、わが家にくる筈だったのは、太郎だけでした。

どうしても子犬が欲しいと言い張った私の我儘に、父が知人から貰い受ける約束をして
きてくれたのです。

その知人宅では、もうすぐ赤ちゃんが生まれる予定でした。

生まれる前から赤ちゃんを欲しいという人がいて、誰のところへ行くのかが既に
決まっていました。

そうして生まれた5匹は、予定先の家いえに貰われていきました。
しかし、その中の1人が、急にペットを飼えないといい始めたのです。

その知人宅でも、お母さんと、生まれてきた子犬1匹だけで、精一杯だということでした。

かといって可愛い子犬を、知らない人のところへやる気には、どうしてもなれないのだと
いうことでした。

それならば、2匹一緒に育てると、父がまるでぬいぐるみの様な太郎と次郎を、
貰い受けてきたのです。

私は、飛び上がって喜びました。
初めは少し反対していた母も、太郎と次郎を見た途端、顔が緩みっぱなしになりました。

そんな、わが家族の憩いのひとときはといえば、夕食後のリビングでのテレビ観賞でした。

しかし太郎と次郎が来てからは、誰もテレビを点けないようになりました。
父の会社からの帰宅時間も、ぐっと早くなりました。

母ひとりでやっていた夕食の後片付けを、3人で協力してやるようになりました。

そうして3人揃ってソファに座ると、太郎と次郎も、一緒になってソファの上に飛び乗って
来るのです。

太郎と次郎は、どういう訳か、リビングのレザーソファが大好きでした。
眠くなってくると、必ずレザーソファの上で眠るのです。

2匹を両手で撫でながら、私は何気なく、レザーソファに触れました。
すると、太郎と次郎と、そしてレザーソファの感触が、とても似ているのです。

(ははあ、そういうことか…)太郎と次郎は、もうすっかり眠っています。
いまごろはきっと、優しいお母さんの夢でも見ているのでしょう。

2012年1月18日 / タグ:[ , , ]