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「晩酌」という響きを、なぜかとても大人っぽく感じていた。
そしていつのまにかそれが自分の日常生活に違和感無く取り込まれていることに気付く。
お酒は、好きだ。飲まれないぐらいに飲むのが好きだ。
それは一人でのんびり…な時もあるし、友人とワイワイ…な時もあるし、
恋人としっぽり…な時もある。
仕事が終わり、楽な格好をしてソファに座る。向かって左側が定位置だ。
まずは、大体ビール。食事は、飲んだ後、取る時もあるし取らない時もある。
おおよその場合、簡単な料理を作って、それを少しずつ食しながら、その時間を愉しむ。
一人の時、いわゆる酒のツマミはテレビとなる。相方とも言えるだろう。
リアルタイムで放送しているニュースや、録画しておいたドラマ、
お気に入りのお笑い番組など、自分の好きなテレビを好きなだけ観ていく。
こんなに幸せなことはない、と思うと同時に、
それを心から楽しんでいる自分に気づき、疑問を感じて笑えてしまう。
酔っ払っては、大好きなソファに寝転がる。お行儀が悪くても、文句を言う人はいない。
友人と一緒の時、ツマミは「好きな人」「恋人」「旦那」となる。
自分の相手がどれだけ素敵であるかを自慢したかと思えば、愚痴も少々。
片思いの場合、第三者の根拠のない後押しにより、都合の良い妄想が膨らんでいく。
ソファの上のクッションを握りしめては、切ない話にや怒った話に感情移入する。
晩酌をしながら、感情を開放させることは、一種のストレス発散でもある。
そして、気の置けない間柄に安心して、元気をもらう。
恋人と一緒の時、ツマミは「会話」となる。いつもの自分より少し控えめに。
会社で大変だったたこと、友人とお出かけしたこと、家族に頭を悩ませていること。
自分の話をするのが照れくさくもあり、怖くもあるのだが、
ほんの少しお酒の力を借りて、距離を縮めてみる。
相手の新たな一面を知ったり、気持ちの揺れ動きに気付いたり。
二人でソファに寄りかかる。それだけで何だか無限の幸せを感じてしまう。
ちなみに、今、一番晩酌をしたい相手は父親だ。
思春期以降、本音で向き合ったことなどないことに、この年齢になりようやく気付く。
今度の帰省は、彼の大好きな日本酒をお土産に買って行こうと思う。