ソファとアルバム

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ソファと過ごす彩り時間

ソファとアルバム

デジカメの普及により、たとえば旅行したとして、撮影した写真をアルバムに貼る、
なんて作業は殆どしなくなった。そもそも写真を紙で見ることが少ない。
CDに焼いて友人に渡したり、SNSサイトにアップしたり。パソコン上で眺めることも多い。

でも、アルバムって実はとても良いツールだと、自分の中で最近ブームとなっている。
機械の中に取り込まれている状態よりも温もりがあるからだ。

1年ほど前から、旅行の写真はアルバムにして残すようにしている。
厳選されたものをプリントアウトして、たくさんある中からとっておきの台紙を選ぶ。
この作業はソファで行う。ソファの前にあるテーブルに写真を並べて、
一枚、一枚、その瞬間を思い出しながら、写真を貼っていく。

記憶とは本当に曖昧なもので、時には自分の都合の良い解釈をしていることもあるし、
時にはそこで体験した様々なものが美化されていることもある。
大変な出来事に出会えば出会うほど、美しく色濃い記憶になっているから不思議だ。
そうやって良い歪みも悪い歪みもプラスされる中で、
写真におさめられている瞬間だけは、紛れもなく真実である。

雲ひとつない快晴だった。気の置けない友人2人との旅だった。今より少しだけ太っていた。
いま生きているこの時間も幸せなものだと分かっているのに、過去の時間って、
なぜこんなに目映いのだろう?

一方で、アルバムを見るだけで忘れかけていた記憶が急にリアルに思い出されることもある。
悲しみとかせつなさとかの類がそうだ。
胸が少しきゅうっとなって、奥に奥に隠していた思いが溢れてしまう。
もうそこに対して自分は何かを求めるわけではない、
むしろ普段は綺麗さっぱり忘れているのにもかかわらず、無性に心がザワザワしてしまう。
とはいえ、随分と消化できている自分に、なんだか大人になったなと感じる。

そうして色んな過去の自分と向き合うきっかけを、アルバムは提供してくれている。
今日もソファで横になりながら、ちょっとしたタイムスリップをする。

2012年1月25日 / タグ:[ , , ]