TOP > ソファスタイル コラム > ソファーに囲まれる生活 > フロアタイプコーナーソファと電気こたつの中の家族の足
夕食がすむと、祖父が、テーブルからフロアタイプコーナーソファへと移動します。
しばらく後、今度は祖母がソファへと移り、テレビを観始めます。
母がテーブルの食器を洗い、父がその食器を、ふきんで拭きます。
私は、拭き終わった食器を、一つずつ棚の中にしまい込むのです。
そうして、夕食の後片づけが全て終わると、父と母と私も、
フロアタイプコーナーソファへと移動します。
全員の足が、そのソファの前にある電気こたつの中で、一つになります。
祖父の足は、ごつごつとしていて、まるで石のように堅いのです。
私の足が、祖父の足にふれても、祖父は知らん顔をして、テレビを観ています。
足と足が触れたことには、どうやら気が付いていない様子です。
祖母の足は、小さくて、とても柔らかでした。
けれど祖母も、私の足が触れても、気付かないことが多いのでした。
そして父の足は、あまりにも大きくて、私は父の足に何度も触れてしまうのです。
そんなとき父は、ちょっと気まずそうな顔をして、「ごめん」と、いうのです。
そして母の足はというと、祖母と同じように小さくて、柔らかで、いつもこたつの
真ん中にあります。
こんなところで、わが家の力関係が分かるとは、思いませんでした。
フロアタイプコーナーソファと、電気こたつ。
この2つが、わが家の冬のひとときを、より暖かに、和やかに、演出してくれます。
私は、家族の団らんの中で、体も心も、ほかほかになります。
クイズが終わったので、「今度はどの番組にしようか」と訊いたけれど、返事がありません。
ふと見回すと、祖父も、祖母も、父も、母も、皆うとうとしています。
私はおもしろ半分、こたつの中の皆の足を、自分の足の親指で、つついてみました。
しかし、誰も、そのことに気が付きません。
そのうち、すーすーという寝息や、ごおごおという鼾まで聞こえ始めました。
母を起こそうかと思って手を伸ばし、私は、途中でその手を止めました。
テレビを消して、そっと自室へ向かいました。