ソファと洗濯物

ソファと過ごす彩り時間

ソファと洗濯物

初めてしたひとり暮らしの家は、日当たりがよくなかった。

日が差し込み明るかった実家暮らしでは、それが普通で気付かずに過ごしていたが
太陽の光を浴びるか否かは、人が生きていく上で思ったより重要だ。

個人的には、それがないと何だかネガティブになってしまうらしい。
鬱々とする、とでもいおうか。

だから、引っ越しのため物件探しをしていた時は、日当りが良いことが大きな条件だった。

いま、ソファのすぐ横には出窓、正面には少し遠いが、大きな窓がある。
そこを出るとベランダ。南向きに建っており、周囲に高いビルもないので、日当りは良好。
おおよそ、週末の日中はソファで寛いでいるのだが、そこから青空が見えると、
無性に洗濯がしたくなる。日光浴に次いで、洗濯も自分の心を前向きに保つ重要な日課。

遠くに見える青空を眺めながら洗濯物を回して、その間はお気に入りの雑誌や小説を読む。
時々ネットショッピングもしている。家事と娯楽を同時にできるのは洗濯ぐらいだ。
ベランダに干した洗濯物はそよそよ風に揺られて、少しずつその湿り気を脱ぎ去って行く。
日が暮れ始めると、取り込む。そしてドサッとソファの上に置く。

あんまり褒められた姿ではないが、ソファの上での作業になんだか慣れてしまった。
一つ一つ温もりを感じながら畳んでいく作業が好きだ。
これも重要な日課。Tシャツ、パンツ、下着…「畳み方」は母と同じ。

特に教えてもらった記憶はないが、共働きの我が家にとって家事の効率化は
大きな課題だったので、幼い頃は、洗濯物をいつも母と一緒に畳んでいた。
不器用だったが、唯一スムーズにできるお手伝いだった。

時々、気心知れた来訪者がいる時、その作業を見られてしまうのだが、
「私と違う」とよく言われる。「畳み方」は家ごとに個性があって面白い。

自分のスタイルも、後世に引き継がれていくかと思うと、いつもは雑なくせに
急に、見栄えを格好良くせねば、などと思い始めるからおかしなものだ。

2012年2月15日 / タグ:[ , , ]