TOP > ソファスタイル コラム > ソファーに囲まれる生活 > カバーリングソファと静香と母と
静香は、私の姪です。つまり姉の子どもであり、両親にとっては初孫です。
その静香が最近、毎週のように、わが家にやってきます。
姉の夫…まり義兄の仕事が忙しいらしいのです。本当のことをいえば、義兄に静香の子守を
頼めない姉が、わが家に助けを求めてやってくるらしいのです。
そんな姉の魂胆を、知ってか知らないでか、両親は静香の子守を安易に受け入れます。
というか、わが家では、静香の好き放題なのです。
例えばシュークリームが欲しいといえば、すぐに父が買いに走ります。
ハンバーグが食べたいといえば、母が、昼食にハンバーグを作ります。
自分が持っている玩具とは違う玩具が欲しい…と言い出せば、両親はすぐに静香を連れて、
デパートへ車を走らせるのです。
もう、なんというか、浅はかこの上もありません。
わが両親ながら、恥ずかしくなってしまいます。
そして姉はといえば、そんな両親の安易な行動を、ニヤリと、ほくそ笑みながら眺めています。
伯母…というほど私は静香と年齢は離れていませんが、それでも伯母ということになっています
ので、常にそんな立場から客観的に、静香を取り巻く人間関係というものを観察しています。
今日も、大きな荷物を3つも抱えて、静香ご一行が帰宅しました。
ひとつは、大きなクマぬいぐるみでした。
もうひとつは、イチゴが乗ったショートケーキでした。
そして最後のひとつは、アイスクリーム…この真冬にアイス!と、私は驚愕してしまいました。
静香が、早速大きなソフトクリーム型のアイスを、口一杯に頬張ろうとしています。
しかし口よりも大きなアイスが、そう簡単に入る筈がありません。
真っ白なバニラアイスが、ころん、と、ソファの上に転がりました。
「あっ!」という皆の声よりも早く、静香が、それを手で掴み取ろうとしました。
ぐしゃり、と、アイスが、ソファ上で潰れました。
と同時に、ソファのあちこちに、アイスが飛び散りました。
「大丈夫?」と…母がいって、カバーリングソファのカバーをはずします。
こういうときのために買ったのは分かるけれど、本当にそれでいいのかどうか疑問になります。
「おばあちゃん、だいじょうぶ」静香は平気な顔をして、アイスを食べ続けています。
「きっと、お腹痛くなるわよ」私は独りごとのように、いってやりました。